近年日本の宇宙理工学の発展は目覚ましく、すばる望遠鏡による系外惑星の直接撮像や、ジオスペース探査衛星「あらせ」による脈動オーロラの発生要因の直接的観測、「はやぶさ2」によるC型小惑星リュウグウへの着陸など画期的な科学成果が続き、東京大学のメンバーは主導的な役割を果たしてきています。
これまで、東京大学は工学系研究科を中心として、10機の超小型衛星を開発し、9機の打上げ運用に成功してきました。特に世界初の1kg衛星、50kgクラス深宇宙探査機の運用に成功するなど、超小型衛星分野では、世界をリードしています。新領域創成科学研究科では、人工衛星からのデータを受信するためのアンテナを大学主導で柏キャンパスに設置し、その運用を2019年より開始したところです。地上観測においては木曽シュミット望遠鏡に小惑星・流星探査に威力を発揮する広視野カメラを開発したほか、チリに惑星・系外惑星の赤外線観測で世界をリードする6.5mTAO望遠鏡を建設中です。
2017年には、惑星科学および天文学を総合的に推進することと、若手人材育成を目的として東京大学大学院理学系研究科附属宇宙惑星科学機構を設置しました。また、新領域創成科学研究科では深宇宙探査学教育プログラムを有するなど、理工連携による教育研究体制の基盤が構築されつつあります。さらに、2018年度には、これまでの基盤を活用し、理学系・工学系・新領域創成科学研究科の部局横断型大学院教育プログラムとして、宇宙地球フロンティア国際卓越大学院を開設しました。
教育・人材育成での成果だけでなく、地球観測および宇宙科学・探査等の実利用も進み、ビッグデータの利活用やベンチャー会社の立ち上げ、企業との協働など、密な産学連携を展開しています。
本機構では、これまで各分野でトップレベルの研究を行っている研究者を集結し、学内での密な連携体制の下、理学系・工学系・新領域創成科学研究科が一体となって推進する系外惑星の大気観測や大学発超小型惑星探査プロジェクトによる新たな学問分野の創出を目指します。 •